開催レポート

IgA腎症患者さん・ご家族向けワークショップ

ディスカッション
ディスカッション

IgA腎症は希少疾患であるため、適切な情報にアクセスすることが難しく、患者さん同士が情報交換できる機会も限られています。
そこで2026年3月1日(土)、ノバルティス ファーマ社主催で、IgA腎症の患者さんおよびご家族を対象としたワークショップが開催され、日々の悩みや治療への想いを共有しました。
当日は、順天堂大学大学院医学研究科腎臓内科学 教授の鈴木祐介先生をお招きし、ご講演に加えて、参加者からの質問や相談にも丁寧にお答えいただきました。
以下、ワークショップの内容の一部をご紹介します。

IgA腎症患者さん同士の情報交換

参加者の皆さんで、これまでの経緯や、現在の治療状況などについて情報交換を行いました。

Aさん(患者さんのお母様)
小学6年生の次女がIgA腎症で治療中です。4年生の時に学校検尿で発見され、すぐに腎生検を受けてIgA腎症と診断されました。同年に扁桃摘出術を受けましたが、今もあまり状況が改善しておらず、春休みや夏休みに入院治療を行っています。

※扁桃摘出術:のどの奥にある扁桃(へんとう)という組織を取り除く手術。

Bさん(女性の患者さん)
 7年前(2019年)にIgA腎症と診断されました。当時は自分がそのような病気になっているとは夢にも思わなかったので、パニックになりました。現在も3カ月に1回の通院で治療を続けていますが、腎機能が徐々に低下しており、2年以内に透析導入になる可能性が高いと説明されています。

Cさん(女性の患者さん)
7年前(2019年)から尿検査異常を指摘されていましたが、深刻に受け止めていませんでした。その後、SNSで自身の症状を検索した際にIgA腎症の可能性を知り、2023年4月に初めて病院を受診。腎生検でIgA腎症と診断され、その年の12月に扁桃摘出術を行いました。現在は定期的な検査で経過を見ながら治療を行っています。

Dさん(女性の患者さん)
14年前(2012年)にIgA腎症と診断されました。一時は「寛解は難しい」と言われていましたが、扁桃摘出術と薬物療法によって寛解に至ることができました。その後、食事療法にも力を入れて治療を続けており、10年以上寛解状態を維持しています。

※寛解(かんかい):症状が一時的あるいは継続的に軽くなったり、消えたりした状態。

Eさん(女性の患者さん)
昨年(2025年)4月に腎生検を受けてIgA腎症と診断され、入院治療を経て、近く扁桃摘出術を予定しています。10年前から蛋白尿は指摘されていましたが、当時その重要性に気づくことができていれば...という思いもあります。
また、父を腎臓病で亡くしており、子どもも生まれつき腎臓が弱いため、家族性の可能性も気になっています。

Fさん(男性の患者さん)
昨年(2025年)の6月に会社の健康診断で尿の異常が見つかり、腎生検でIgA腎症と診断されました。今年に入ってすぐに扁桃摘出術・入院治療を行い、現在は内服薬で治療を続けています。
診断直後は、IgA腎症という聞いたことのない病気になったことや、「難病」や「透析」といったキーワードにとてもショックを受けました。この半年ほどは、自分の将来や家族のことを考えて悩む一方で、自覚症状がないので、夢を見ているような感覚でもありました。

Gさん(女性の患者さん)
昨年(2025年)10月に腎生検でIgA腎症と診断されました。これから本格的な治療が始まり、7月末に扁桃摘出術を予定しています。フルタイムで働いているため、治療のための休職期間や復帰の目処に不安を感じています。

ディスカッション

ディスカッションパートでは、参加者の皆さんが鈴木先生を交えてさまざまなテーマについて話し合いました。

<話し合われたテーマ(一部)>
・見逃しがちな病気のサインについて
・少しでも疑問に思ったり迷ったりしたら医師に相談してみること
・患者さん自身が検査値や治療内容の意味を理解し、治療に参画することの大切さ
・公的支援(難病パスポート等)の紹介について
・患者さん同士のつながりの場の必要性 など

以下、話し合われた内容の一部をご紹介します。

● 他の患者さんたちにお伝えしたいこと

Aさん:振り返ってみると、最初に受診した先生がすぐに腎臓専門医を紹介してくださったことが、私たち親子にとって大きかったと思います。娘の病気が分かった時は仕事を辞めなければいけないと思っていましたが、「お子さんの人生も、お母さんの人生も大事ですので、一緒に頑張りましょう」と励ましていただき、とても勇気づけられました。娘も先生を信頼しており、しっかりと治療を続けています。迷っている方は、腎臓専門の先生にできるだけ早く相談するのがいいと思います。

Bさん:透析導入が見えてきて将来の不安が募っていた頃、先生に相談したいとも思いましたが、お忙しそうですし、なかなか切り出すことができませんでした。そこで、思い切って看護師さんにお願いして話を聞いてもらいました。お医者さんには相談しにくい場合もあることを理解して聞いていただき、とても嬉しかったです。お医者さんに相談しにくいときには、看護師さんや他のスタッフの方々を頼ってみるのもいいかもしれません。

Cさん:私は、SNSで「風邪×血尿」を検索して初めてIgA腎症というものを知りました。それがきっかけできちんとした治療を受けることができましたが、もしSNSで検索していなかったら、今も病気に気づいていなかったと思うととても怖いです。風邪をひいたときにコーラ色の尿が出る(*)などの病気のサインの情報を、私自身もっと早く知りたかったですし、私のように知らずに病気を放置している人には早く教えてあげたいです。

● 患者さん同士のつながりについて

Dさん:私は医療関係の仕事をしています。私自身、患者として先生にお話したいことがある一方、医療者として患者さんのお話を聞く時間が十分にないことも理解しているので、ジレンマを感じます。だからこそ、患者さん同士でコミュニケーションができる機会はとても貴重です。腎臓病患者さんは、病気の辛さ・不安だけでなく、生活の辛さ・不安も合わせ持っていると思うので、患者さん同士でそれらを共有できるといいと思います。

Eさん:IgA腎症になって、インターネットなどでいろいろ調べてみましたが、知りたい情報が十分にあるわけではありませんでした。そのような時に、ブログやSNSを通じて他の患者さんやご家族の方とつながることができ、救われた気持ちになりました。本日、こうして実際に皆さんのお顔を見てお話が聞けたことは、とてもありがたかったです。

Fさん:私もこれまで、腎援隊やSNSを見たり、ガイドラインや論文を探したり、AIに質問したりして情報収集してきましたが、やはり、実際の患者さんの声を聞く機会は大変貴重だと改めて感じました。

Gさん:患者さんの現実についての具体的な情報が乏しい中、少しでも多くの情報を得たいと思って腎援隊のメルマガ会員に登録し、この会に参加することができました。自分とは異なる境遇の方もいらして、さまざまなお話を聞くことができ、大変参考になりました。

最後に~鈴木先生からのお言葉

鈴木先生

今回のワークショップを通じて、私自身も新たな気づきを得ることができ、大変有意義な時間となりました。
IgA腎症は慢性疾患であり、患者さん自身が病気と向き合って治療を進めていくことがとても大切ですが、私たち医療者も、今後もさまざまな形で皆さんを支えていきたいと考えています。
現在、IgA腎症研究会では、本格的なWebサイトの立ち上げを進めており、情報提供に加えて患者さん同士が交流できる仕組みの導入も予定しています。公開された際には、ぜひご活用いただき、治療や日常生活にお役立てください。

鈴木先生


腎援隊では、今後もIgA腎症患者さんやそのご家族のために、さまざまな情報を提供していきます。新たなコンテンツを掲載した際には、メールマガジンでお知らせしています。よろしければ、メルマガ会員にぜひご登録ください。

<出典>
* 厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等政策研究事業(難治性疾患政策研究事業)難治性腎障害に関する調査研究班 編. エビデンスに基づくIgA腎症診療ガイドライン2020 東京医学社 2020:16-17

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