ドクターコラム

慢性腎臓病(CKD)と生活習慣病

慢性腎臓病(CKD)と生活習慣病

大阪大学大学院医学系研究科 腎臓内科学 教授 猪阪 善隆 先生

大阪大学大学院医学系研究科 腎臓内科学 教授 猪阪 善隆 先生

慢性腎臓病(CKD)と生活習慣病

掲載日:2016/03/03

慢性腎臓病の発症には、糖尿病や高血圧に加えて、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、肥満、喫煙など多くの生活習慣に関わる危険因子が関与しています。糖尿病や高血圧などを治療するだけでなく、生活習慣の改善を行うことにより、CKDの発症および進展を予防することができますので、生活習慣の改善は、末期腎不全に至る患者を減らすとともに、CKD患者に合併しやすい心血管病を防ぐことにつながります。

1.糖尿病
現在、全透析患者の原疾患別割合は、糖尿病性腎症が第1位となっています(*1)。糖尿病治療の進歩にも関わらず、維持透析を必要とする糖尿病患者が増加しているのは日本の糖尿病患者が増加しているからです。食事療法や投薬など糖尿病の治療をきちんと受けるとともに、アルブミン尿などの検査を定期的にうける必要があります。

2.高血圧
高血圧はCKDを悪化させるだけでなく、CKDも高血圧の原因となるので、血圧管理が必要です。塩分を控えるとともに、降圧薬が必要な場合もあります。蛋白尿の程度や原因によって、目標とする血圧が異なります。血圧を自己測定する習慣をつけましょう。

3.メタボリックシンドローム
メタボリックシンドロームを有する人の方がCKDになりやすいことがわかっています。また、メタボリックシンドロームの構成因子数が増加するほど、CKDになりやすいのです。肥満は末期腎不全のリスクですので、適切な体重を目指しましょう。

4.脂質異常
脂質異常はCKDの発症・進展に関連するだけでなく、CKDに合併しやすい心血管合併症に関係しています。脂質異常がある時は、食事療法や運動療法など生活習慣の改善のうえ、薬物療法も考慮します。

5.喫煙
喫煙はCKD患者の蛋白尿を増加させ、腎機能障害の進行を促進します。禁煙をするようにしましょう。

6.アルコール
エタノール20g/日以下のアルコール摂取(ビール中ビン1本、日本酒1合程度)は逆にCKDの発症リスクを低下させることが報告されていますので(*2)、適切なアルコール摂取は差支えありません。

7.運動
CKD患者では十分な睡眠や休息は必要ですが、安静を強いる必要はありません。血圧や腎機能、尿蛋白を参考に<適切な運動量を決めるとよいでしょう。

☞ 慢性腎臓病の基礎知識「慢性腎臓病の運動療法

8.睡眠
睡眠時間が1日6時間に満たない人は、早死する確率が高くなるという報告もあります(*3)。5時間未満の短時間睡眠は蛋白尿陽性となるリスクが高いことがわかっています。

☞ 参考:猪阪先生が登場するアニメ「腎代替療法 知っておきたい3つの選択肢!

<出典>
*1 日本透析医学会 統計調査委員会 図説 わが国の慢性透析療法の現況(2016年12月31日現在)
*2 日本腎臓学会 エビデンスに基づくCKDガイドライン2018
*3 Yamamoto R, Nagasawa Y, Iwatani H, et al. Self-reported sleep duration and prediction of proteinuria:a retrospective cohort study. American journal of kidney diseases 2012;59:343-55


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