教授 山縣 邦弘 先生
2023.04.01 教えて!ドクター
薬物療法、生活習慣改善、食事療法、運動療法などの保存療法を行います。
監修:東北大学大学院 医学系研究科・医学部 内部障害学分野 准教授 伊藤 修 先生
以前は、慢性腎臓病(CKD)の患者さんが運動すると蛋白尿が増えて腎障害が悪化するといわれ、なるべく安静を保つことが原則でした。
しかし最近、適度な運動は腎機能の低下を防ぎ、透析などの腎代替療法への移行を遅らせること、そして死亡率も下げることがわかってきました(*)。こうしたことから、現在はCKD患者さんにも適度な運動が勧められています※。
※2016年4月から、糖尿病性腎症で一定条件のもとに医師が透析導入時期を遅らせるための運動療法を指導した場合に、健康保険が適用されるようになりました。
CKD患者さんは、心臓などに疾患を持っていたり、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病を合併していたりする場合があります。合併している疾患や状態によっては、運動療法を制限する必要があり、場合によっては運動療法が禁忌になることもあります。運動を始める前に、どの程度の運動が可能か医師に相談することが重要です。
CKD患者さんに勧められる運動の種類は、有酸素運動、レジスタンス運動※、またはそれらを組み合わせたプログラムになります。
※レジスタンス運動:ダンベル運動やスクワット、腹筋、腕立て伏せなどの、筋肉に抵抗(レジスタンス)をかける動作を繰り返し行う運動。
最初から長時間がんばるのではなく、「1日に10分だけよけいに歩く」など運動を少しずつ生活に取り入れましょう。
また、歩数計を付けて記録したり、音楽を聴きながら散歩したりするなど、自分なりに楽しみながら運動を続けられるスタイルを見つけましょう。
他人と話しながら続けられる強さの運動で、運動中や後に息苦しさや痛みを感じないようにしましょう。翌日に疲労が残るような激しいスポーツは避けます。また、体調の悪いときは休み、無理をしないことが大切です。
☞【参考】
ご家庭で作れる美味しい腎臓病食「ごほうび腎臓病食を楽しもう!」
末期腎不全の治療法「腎代替療法とは」
<出典>
*Chen IR, Wang SM, Liang CC et al. Association of walking with survival and RRT among patient with CKD stages 3-5. Clin J Am Soc Nephrol 2014;9:1183-1189
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