慢性腎臓病の原因疾患

慢性腎臓病の原疾患(原因疾患)にはさまざまなものがあります。

糖尿病性腎症

監修:東京女子医科大学 糖尿病センター 内科学(第三)講座 教授・講座主任 馬場園 哲也 先生

透析導入の原因 第1位

厚生労働省の患者調査(2014年)によると、糖尿病の患者数は316万6,000人で、過去最高となりました(*1)。糖尿病の主な合併症の1つである糖尿病性腎症は、1998年以降、透析導入の原因として最も多い疾患となっています。

透析導入原疾患の推移
なぜ糖尿病が腎臓病を起こすのか
糖尿病は、血液中のブドウ糖の濃度(血糖値)が高くなった“高血糖状態”が続く病気です。慢性的な高血糖状態は、全身の血管にダメージを与えます。
腎臓は糸球体という細い血管の集合体です。糸球体では、血液中の老廃物や余分な水分がろ過されます。ろ過された老廃物や余分な水分は、尿として体外に排泄されます。一方で、生体に必要なタンパク質は、糸球体でほとんどろ過されません。
糸球体でのろ過
ところが、長い間、高血糖状態が続くと、糸球体の血管の壁が傷害され、通常はろ過されないタンパク質が尿中に漏れ出し、逆にろ過されるべき老廃物や余分な水分が十分にろ過されなくなります。このようにして、腎臓の機能が徐々に低下していきます。
また、糖尿病患者さんは、高血圧や脂質異常症などの生活習慣病を合併している場合が多く、それらの疾患も腎機能の低下を早めます。
糖尿病性腎症の進行と症状
糖尿病性腎症の初期は、ごく少量のタンパク質(アルブミン)が尿中に漏れ出します(早期腎症期)。この段階では自覚症状はほとんどありません。

病期が進行して尿中に漏れ出すタンパク質が増えてくると(顕性腎症期)、むくみや息切れなどの自覚症状があらわれることがあります。

更に病期が進行すると、老廃物や余分な水分をろ過する機能が低下し(腎不全期)、やがては貧血や吐き気などの腎不全に伴う自覚症状があらわれます。

病期の進行

ただし、すべての患者さんが必ずしも前述のような段階を踏んで進行するわけではなく、尿中に漏れ出すタンパク質は少なくても、老廃物や余分な水分をろ過する機能が低下する場合などもあります。
治療の基本は血糖と血圧のコントロール
糖尿病性腎症は、血糖や血圧をしっかりとコントロールすることで、進行を遅らせることができます。早期に治療を行えば、改善も期待できます。

<血糖のコントロール>
糖尿病性腎症の合併がない場合、および早期腎症期では、カロリー制限を主体とした食事療法と運動療法が基本です。それでも十分に血糖値が下がらない場合は、経口糖尿病薬やインスリンなどの注射薬を用います。

☞ 参考:管理栄養士コラム「糖尿病腎症の食事療法

血糖のコントロール

<血圧のコントロール>
早期腎症期以降では、食塩の制限に加えて、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)またはアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)という降圧薬がよく用いられます(*2)

☞ 参考:薬剤師コラム「降圧薬

血圧のコントロール

<その他の治療>
脂質異常症の治療や肥満の解消、禁煙も重要です。顕性腎症期以降は、タンパク質の摂取制限も必要になります。
肥満、喫煙、たんぱく質

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☞ 参考:ドクターコラム「糖尿病腎症の診断と治療」「糖尿病のCKD・透析」「糖尿病患者さんの腎移植

<出典>
*1 厚生労働省 2014年患者調査の概況
*2 日本腎臓学会 CKD診療ガイド2012


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