教授 山縣 邦弘 先生
2023.04.01 教えて!ドクター
教えて!ドクター
掲載日:2023/10/13
慢性腎臓病(CKD)は、全身の病気に伴う腎障害を含むあらゆる腎疾患が原因となります。主な原因疾患には、以下のようなものがあります。
1)糖尿病性腎症(糖尿病性腎臓病)
糖尿病の合併症の1つです。典型的な例では、糖尿病による慢性的な高血糖状態などが腎臓の糸球体にダメージを与え、わずかな蛋白尿(微量アルブミン尿)が出ることによって発症します。病状の進行とともに蛋白尿が増加すると、急速に腎機能が低下します。
最近は糖尿病で蛋白尿が目立たないまま腎機能が低下する非典型的な例も増えており、総称して「糖尿病性腎臓病」といわれます。
☞ 基礎知識「糖尿病性腎症」
2)腎硬化症
長年の高血圧や喫煙などによって全身の動脈硬化が進行し、腎臓の大小の血管が傷害を受けることにより、腎機能がゆっくり低下する病気です。高齢化に伴って患者さんが増えています。
☞ 基礎知識「腎硬化症」
3)慢性糸球体腎炎
尿の異常(蛋白尿や血尿)が続き、腎機能が年単位でゆっくり低下します。多くの場合は症状に乏しく、健診(検診)で見つかることが多い病気です。
さまざまな原因によって腎臓の糸球体がダメージを受け、腎機能が徐々に低下する病気の総称であり、日本人で最も多い原因としてIgA腎症が知られています(*)。
☞ 基礎知識「慢性糸球体腎炎」
4)多発性嚢胞腎(たはつせいのうほうじん)
腎臓にたくさんの嚢胞(のうほう:液体のつまった袋)ができる多発性嚢胞腎は、遺伝性の病気です。年齢ともに腎臓が大きくなり、成年期以降にゆっくり腎機能が低下します。腎臓痛や嚢胞からの出血などの局所症状のほか、肝臓などの多臓器の嚢胞、高血圧、脳動脈瘤などの全身の合併症がみられることがあります。
☞ 基礎知識「多発性嚢胞腎」
慢性腎臓病の治療は、原因疾患の治療が基本となります。原因疾患によって治療法が異なるので、診断をつけることが大変重要です。正確な診断のためには、専門医のもとでの腎生検が必要になる場合があります。
慢性腎臓病は、早期に原因を診断し、適切な治療を行うことで、腎機能の低下を抑えることが可能です。
☞ 参考:教えて!ドクター「Q. 腎生検とはどのような検査ですか? 痛いのですか?」
<データソース>
* 日本腎臓学会 腎臓病総合レジストリー
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