慢性腎臓病の原因疾患

慢性腎臓病の原疾患(原因疾患)にはさまざまなものがあります。

腎硬化症

監修:山梨大学医学部 第三内科 教授 北村 健一郎 先生

透析導入の原因として増加している「腎硬化症」

腎硬化症は、高血圧によって腎臓の細い血管や糸球体が硬くなり、血液をうまくろ過できなくなる疾患です。透析導入の原因として3番目に多く、近年、その割合も増加しています(*1)

透析導入原疾患の推移

腎硬化症は、他の慢性腎臓病と比べて特に高齢の患者さんが多い疾患です(*2)。そのため、高齢者人口の増加によって、腎硬化症による透析導入が増えていると考えられています。

※腎硬化症には、急激な血圧上昇(拡張期血圧(下の血圧)が120~130mmHg以上(*3))に伴う「悪性腎硬化症」もありますが、ここでは通常の「腎硬化症」について説明します。

原因は長期間にわたる高血圧

5~10年以上(*3)にわたって、軽症(Ⅰ度)~中等症(Ⅱ度)の高血圧(収縮期血圧140~179 mmHg かつ/または 拡張期血圧90~109 mmHg(*4))が続くと、しだいに腎臓の細い動脈の壁が厚くなり、動脈内が狭くなります。すると、その先の糸球体への血流が少なくなり、その結果、糸球体が硬くなったり、尿細管が萎縮したりして、血液中の老廃物や余分な水分を尿としてうまく排泄できなくなります。また、腎臓自体も萎縮していきます。

腎硬化症発症の経過

症状がないまま緩やかに進行

腎硬化症は、初期段階では自覚症状がなく、尿蛋白も比較的少ないのですが、原因である高血圧を放置しておくと、少しずつ腎機能障害が悪化していきます。そして、腎機能障害の悪化が高血圧を悪化させる悪循環が生まれ、次第に腎硬化症が進行していきます。
また、腎機能障害が悪化すると尿蛋白が増え、尿蛋白の増加も腎機能障害を更に悪化させます。

CKDと高血圧、蛋白尿の悪循環

このような状態が続くと、最終的には末期腎不全になってしまう場合もありますが、腎硬化症は、早期から適切な治療を行えば、末期腎不全に至ることは比較的少ないとされています。

治療の基本は降圧療法

腎硬化症の治療は、原因である高血圧の治療が基本です。主に薬物療法と生活習慣の改善を行います。

血圧測定

<薬物療法>
薬物療法では、蛋白尿や糖尿病の有無に応じて、さまざまな降圧薬を使い分けます。

1)蛋白尿がなく かつ 糖尿病を合併していない場合
RAS阻害薬(ARB、ACE阻害薬)やCa(カルシウム)拮抗薬、利尿薬を用いて、血圧を140 / 90mmHg未満となるようにコントロールします(*5)

2)蛋白尿がある場合 または 糖尿病を合併している場合
RAS阻害薬を用いて、血圧を130 / 80mmHg未満となるように目指してコントロールします(*4)
降圧目標

ただし、腎硬化症の患者さんには高齢者が多く、高齢者では血圧を低くしすぎると心臓や血管の疾患を引き起こすリスクもあるため、患者さんごとの状態に応じた血圧の目標設定が重要です。

<生活習慣の改善>
薬物療法と合わせて、塩分制限(1日あたり3g以上 6g未満(*3))、減量、禁煙などの生活習慣の改善も行います。


高血圧は、腎硬化症だけでなく、心筋梗塞や脳卒中といった命にかかわる疾患を引き起こすこともあるので、医師や薬剤師などの指示に従って、しっかりと治療を続けることが大切です。

☞ 参考:ドクターコラム「慢性腎臓病と心血管疾患(1)虚血性心疾患

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<出典>
*1 日本透析医学会 統計調査委員会 図説 わが国の慢性透析療法の現況(2016年12月31日現在)
*2 日本腎臓学会 エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2013
*3 矢崎義雄(編) 内科学 第11版 朝倉書店
*4 日本高血圧学会 高血圧治療ガイドライン2014
*5 日本腎臓学会 エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2013


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