2017.12.14 腎移植の基本情報
先行的腎移植(PEKT)
監修:日本赤十字社愛知医療センター 名古屋第二病院 腎臓病総合医療センター 移植内科 部長 後藤 憲彦 先生
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先行的腎移植(PEKT)とは、維持透析を経ないで腎移植を行うことをいいます。従来、先行的腎移植は血液透析が難しい小児で勧められてきた治療法ですが、成人でも、透析を経てから腎移植を行うよりも、透析を経ずに腎移植を行った方が、移植腎生着率、患者生存率が良好であることが海外から報告されていました(*1)(*2)。
最近、透析医療が世界でも最高レベルである本邦においても、透析期間が少ない(可能なら透析を経ない)ほど、移植腎生着率や患者生存率が良好で、心血管疾患の合併も少ないことが報告されました(*3)。
現在日本では、移植直前のみの透析も含めると、生体腎移植全体の約37%が先行的腎移植となっています(*4)。
先行的腎移植は、透析を経てからの移植に比べ、移植腎生着率、患者生存率が良好であることに加え、血液透析のための内シャント作製や、腹膜透析のためのカテーテル挿入の必要が無いことや、透析による合併症が回避できる、小児の場合は成長障害の解消により最終身長が伸びる期待ができる、などの利点があります。
糖尿病の患者さんはCKDステージ3b(eGFR30~44mL/分/1.73m²)、糖尿病がない患者さんはCKDステージ4(eGFR15~29mL/分/1.73m²)で移植施設へ紹介受診することが望ましいですが、原疾患(原因疾患)や合併症によっても異なりますので、腎臓内科医や移植医に早めに相談してください。腎移植を行うのは、CKDステージ5(eGFR 15mL/分/1.73m²未満)になってからです。
※eGFRは、血清クレアチニンの値が分かればご自身で計算できます。あなたのeGFRは?をご利用ください。
献腎移植においても、5つの学会(日本腎臓学会、日本移植学会、日本透析医学会、日本臨床腎移植学会、日本小児科学会)で検討された結果、統一基準により、日本臓器移植ネットワークへの先行的献腎移植の登録が可能となりました。先行的献腎移植を希望される方は、移植施設、あるいは治療を受けている施設の主治医に問合せをしてください。
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☞【参考】
動画体験シリーズ「生体腎移植」
<出典>
*1 Mange KC, et al. N Engl J Med 2001;344:726-731
*2 Vats AN, et al. Transplantation 2000;69:1414-1419
*3 Goto N, et al. Clin J Am Soc Nephrol 2016;11
*4 日本移植学会・日本臨床腎移植学会. 腎移植臨床登録集計報告(2022)移植 2022;57:199-219