慢性腎臓病患者インタビュー

腎生検の体験談(1)
IgA腎症患者 伊藤 直樹 さん(仮名)

腎生検の体験談(1)
IgA腎症患者 伊藤 直樹 さん(仮名)

IgA腎症患者 伊藤直樹さん

目次

Chapter 3: 病気の診断がつき、治療に臨む覚悟が決まった

----- 腎生検の結果は、いつごろ聞きましたか。

伊藤さん
結果自体は、検査から半月程度で出ていたようですが、なかなか病院に行ける都合がつかなかったので、約1カ月半後の2024年1月12日に結果を聞きにいき、IgA腎症と診断されました。細かい部分は覚えていないのですが、腎生検で採取した糸球体が何個で、そのうち何個に炎症があってというような説明を受けました。

----- 診断を受けた時は、どのようなお気持ちでしたか。

伊藤さん
腎生検について事前にネットで調べていた時に、自分の病気はIgA腎症の可能性が高いと思っていたので、やっぱりそうかという感じでした。調べたウェブサイトに、IgA腎症が進行すると透析になる場合もあると書かれていてショックを受けましたが、早期に治療すれば寛解する可能性があるとも書かれていました。だからこそ、早く病気を確定させて、早く治療を始めたいと思っていたので、IgA腎症とはっきりと診断がついて、ようやく治療に臨む覚悟が決まりました。

※寛解(かんかい):症状が一時的あるいは継続的に軽くなったり、消えたりした状態。

血尿の原因が特定された流れ

----- 治療については、先生からどのようなお話がありましたか。

伊藤さん
「まずは腎臓で起きている炎症を止めるための治療をしましょう」との説明がありました。「伊藤さんの腎臓は今、火事が起きているような状態で、燃え盛り始めたばかりです。火事は時間が経てば経つほど、燃えたものが炭になっていきますよね。炭になってしまうと、もう元には戻りません。だから、できるだけ早いうちに治療を行って消火した方がいいんです」といった、とても分かりやすい説明でした。
そして、今まで慎重に進めていた先生が、今度は早ければ早いほど良いとのことで、その月の末に2泊3日の入院による治療を行うことになりました。

----- 治療は大変でしたか。

伊藤さん
治療は、かなり順調に進んだのではないかと思います。事前に「入院治療を2、3回やるかもしれない」と言われていましたが、結局1回しか行いませんでした。治療後すぐに蛋白尿が出なくなったので、効果を実感しました。その後も蛋白尿が出なかったので、2回目以降は必要ないと判断されたのだと思います。
入院治療の後は、ガイドラインに基づいて外来で飲み薬による治療を行っていましたが、それも次第に用量が減っていきました。毎月、血液検査と尿検査を行っていましたが、ずっと続いていた血尿が8月に出なくなった時は嬉しかったです。
9月も血液検査、尿検査ともに異常無しだったので、ついに飲み薬による治療も中断になりました。副作用のようなものも特にありませんでした。

注)すべての患者さんで同様の経過をたどるわけではありません。

----- 病気の診断が早かったおかげで、治療も順調に進んだのかもしれませんね。

伊藤さん
ただ、7月に1週間ほど入院して行った扁桃摘出術は大変でした。手術自体は全身麻酔で行うため、痛みはありませんでしたが、翌朝目覚めてからは、つばを飲み込むたびにのどがひどく痛みました。当然、食事や飲み物ものどを通らないので、点滴で栄養を補給しました。しかし、食事ができるようにならないと、点滴を外せないので退院できません。入院を4日ほど延長して、何とか食事ができるようになって、ようやく退院できました。退院後も数日間は痛みがありました。

※扁桃摘出術(へんとうてきしゅつじゅつ):のどの奥にある扁桃という組織を取り除く手術。

----- 現在は、どのような治療をされているのですか。

伊藤さん
血液中のコレステロールを下げるお薬だけ飲んでいます。あと、腎生検の時に指導された減塩をずっと続けています。もちろん禁煙も続けていますし、お酒もほとんど飲んでいません。

----- 気持ち的にも、発症前に戻った感じですか。

伊藤さん
いえ、まだ8月と9月の2カ月間検査が正常だったというだけですので、不安はあります。先生からも、毎月の血液検査と尿検査は続けましょうと言われています。
それに、もしこのまま寛解になって、それが続いたとしても、意識の面では元の自分に戻るべきではないと思っています。この病気をきっかけに、腎臓だけではなく、自分の体に対して常に注意を向け続けなければいけないと、改めて思うようになりました。


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