
生体腎移植者 山上隆さん(仮名)
生体腎移植者 山上隆さん(仮名)
2017.08.31 レシピエントインタビュー
慢性腎臓病患者インタビュー
Chapter 2: いざ、腎生検。痛くはないけど...
----- 大学病院の腎臓内科では、どのように診療が進められましたか。
伊藤さん:
かかり始めたのは、2023年の夏ごろだったと思います。最初に主治医の先生から説明があり、腎臓の病気かどうか見極めたいので、まずは数回、尿検査と血液検査を行うとのことでした。その結果、腎臓の病気の可能性が高い場合は、腎生検を行うとのことでした。
そんなペースで大丈夫なのかと不安に思い、先生に尋ねてみましたが、「伊藤さんは幸いにも、健康診断の後すぐに泌尿器科を受診して、早い段階で腎臓内科までたどり着いているので、現状は一刻を争うような事態ではありません。まずは血尿や蛋白尿の様子も見ながら、しっかりと原因を確認していきましょう」と言われました。
----- 病気の初期段階で専門医を受診できていたので、入念に検査できる時間があったのですね。
伊藤さん:
そして、約1カ月の間に2回ほど、尿検査と血液検査を受けました。血液検査は、腎臓に影響を与える他の病気がないかどうか調べるとのことで※、それまでよりも採血量が多かったことを覚えています。結果、そのような病気は見つかりませんでした。また、腎臓の機能を示すクレアチニンやeGFRといった検査値も正常でした。ただ、その間も血尿や蛋白尿が改善することはなかったので、これはもう腎生検をして原因を調べるしかないということになりました。
※血液の病気などが原因で、腎臓の機能が低下する場合もあります。
----- 腎生検を受けることになった時は、どのようなお気持ちでしたか。
伊藤さん:
様子を見ているうちに血尿や蛋白尿が改善してくれたら一番良いと思っていたので、少し残念な気持ちもありました。ただ、腎生検については、事前にネットで調べてだいたいどのような検査か分かっていたので、特に怖いとは思いませんでした。むしろ、腎生検を行うことで、ようやく原因が分かるという前向きな気持ちでした。
----- 実際の腎生検は、どのように進められましたか。
伊藤さん:
腎生検は、その年(2023年)の11月末に受けました。1週間ほど入院することになりましたが、リモートでできる仕事だったので、仕事にはそこまで支障はありませんでした。
腎生検を行ったのは入院2日目でしたが、事前に病室で詳しい説明がありました。実際に刺す針を見せてもらいましたが、大き目の注射といった印象でしたし、局所麻酔をするので痛くないとも聞いていたので、怖いとは思いませんでした。
それから、腎臓の組織を採る時の練習もしました。腎臓は、呼吸すると位置が動くので、針を刺す時は息を止める必要があります。超音波診断装置を持ってきて、実際に腎臓が動いているところを見せてくれ、合図に合わせて息を止める練習をしました。針を刺す時の押されるような感覚も事前に体験させてくれましたし、組織を採る時の「バチン」という音も聞かせてくれました。とても丁寧に一通り説明してくれたので、本番に向けて不安はありませんでした。
ただ、いざ本番となって処置室に入ると、先生や看護師さん5、6人に囲まれたので、緊張して血圧がすごく上がってしまいました。若い先生に腎生検を経験させる機会だったらしく、指導する先生も立ち会っていたので、大人数になっていたようです。「もうちょっとリラックスしてください」とか「こういう方もたまにいらっしゃるんですよ」とか言われながら、血圧が落ち着くまで10分くらいお待たせしてしまいました。
実際の検査は、事前に説明されたとおりで、針を刺して組織を採る行程を3回行いました。
注)入院期間や検査の流れ、組織採取の回数などは、患者さんや病院によって異なります。
----- 痛みや苦しみを感じることはありましたか。
伊藤さん:
ありませんでした。腎生検の最中も、その後の入院中も、腰やお腹に痛みを感じるようなことはありませんでした。
ただ、病室に戻ってベッドで安静にしている間、仰向けでじっとしていなければならないのが辛かったです。止血するために腰の下に砂嚢(さのう:砂を入れた袋)を入れて患部を圧迫するのですが、その状態のまま12時間くらい、寝がえりを打ってもいけません。ほとんど眠れませんでしたし、スマートフォンでメールを打ったり、動画を見たりして、何とか気を紛らわせていました。翌日、出血が止まっていることが確認されると、動くことを許可されましたが、長時間同じ姿勢でいたせいで、体がだるかったり、足がしびれたりしました。
その後も、出血については特に注意するように言われました。シャワーはOKでしたが、血流が良くなって出血する可能性があるので、入浴は退院の1週間後まで禁止でした。また、下腹部に強い力を入れると出血する可能性があるので、しばらくは重いものを持ったり、長い階段を登ったりすることは避けるように言われました。
----- 腎生検に際して、持っていって良かったものや、持っていけば良かったと思うものはありますか。
伊藤さん:
私の場合は、とにかく動けないことが辛かったので、スマートフォンがあって助かりました。また、私の病室は4人の相部屋だったのですが、他の患者さんのいびきが気になって眠れなかったので、病院内のコンビニに行って耳栓を買いました(笑)。気になる方は、耳栓を持っていった方がいいかもしれません。私自身もいびきをかくことがあり、他の患者さんにも迷惑はかけたくないので、個室にしても良かったと思いました。
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