慢性腎臓病患者インタビュー

腎生検の体験談(1)
IgA腎症患者 伊藤 直樹 さん(仮名)

腎生検の体験談(1)
IgA腎症患者 伊藤 直樹 さん(仮名)

IgA腎症患者 伊藤直樹さん

目次

Chapter 4: IgA腎症でも、今までと変わらない生活を続けるために

----- 病気になって、生活面で変わったことはありますか。

伊藤さん
生活面で変わったのは食事だけです。栄養士の先生にもいろいろ話を聞いて、食塩の摂取量を1日6g以内(*)に収めることを意識するようになりました。家族にもどのような病気かすべて伝えて、食事の塩分を制限してもらっています。
ただ、仕事柄、外食することが多いのが難点です。私自身それほど食べるものにこだわりは無いのですが、コンビニなどで売っている食品の表示を見ると、食塩量が2g、3gは当たり前です。1食あたりの食塩量を2g以内に抑えようと思っているので、なかなか適当な食品が見つからなくて苦労しています。

----- お仕事では、何か変わったことはありますか。

伊藤さん
体調は以前と何も変わらないので、仕事の面でも変わった点はありません。社員にも、病気のことは特に伝えていません。ただ、秘書さんには、会食のお店や会議時のお弁当を手配してもらっているので、病気のことを伝えて、食塩量にだけ配慮してもらっています。

----- 伊藤さんは、自覚症状も無く、ほとんど変わらない生活のまま、病状を落ち着けることができましたが、そのためには何が一番重要だったと思いますか。

伊藤さん
まずは、やはり健康診断の重要性を改めて実感しました。IgA腎症という透析になる可能性もある難病であるにもかかわらず、現在に至るまで、痛みや苦しみを伴う症状は何もありません。あの時、健康診断で異常が見つかっていなかったら、取り返しがつかない状態になるまで病気に気付くことはなかっただろうと考えると、恐ろしいです。
逆に言えば、早く病気を見つけて早く対処すれば、病気による痛みや苦しみを感じることなく、それまでとほとんど変わらない生活を続けられる可能性が高くなるということだと思います。早め早めに行動すれば、必要以上に怖がる病気ではないと思っています。

----- おっしゃるとおり、早期発見・早期治療は慢性腎臓病(CKD)の重要なテーマです。

伊藤さん
また、現代の医学を信じて、医師の話をよく聞き、正しく理解することも大切だと感じました。私を担当してくれた健康診断や泌尿器科、腎臓内科の先生方は、今どういう状態か、今何をすべきか、今後どうなる可能性があるかを明確に説明してくれましたし、質問にも丁寧に答えてくれました。とても信頼していたので、先生方が提案してくれた現在確立されている医療を受けることに迷いはありませんでした。
今は幸いにもネットでさまざまな情報が手軽に得られるので、それも理解の助けになると思います。先生方とコミュニケーションをとって、診療方針を理解すれば、不安も少なく、スムーズに治療を進められると思います。

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<出典>
* 日本腎臓学会 編. エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン 2023: 92-93


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