腎センター 教授 相川 厚 先生
2016.02.12 腎移植のドクターインタビュー
ドクターコラム
大阪大学大学院医学系研究科 招聘教授
関西メディカル病院 腎移植科 部長 高原 史郎 先生
大阪大学大学院医学系研究科 招聘教授
関西メディカル病院 腎移植科 部長 高原 史郎 先生
掲載日:2016/02/12
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まずレシピエント(腎臓の提供を受ける人)の適応を説明しましょう。
現在、血液透析あるいは腹膜透析治療を受けている方が適応ですが、最近では、透析治療を始める前に生体腎移植を行う「先行的腎移植」が広まっています。これは欧米の「透析治療開始前に腎移植を行う方が、透析治療を行ってから移植をするよりも、移植後の成績が良い」という臨床研究(*1~3)の結果を反映しています。
献腎移植とは、亡くなられた方から腎臓を提供していただく腎移植のことです。適応は原則として生体腎移植と同じです。ただし、平均して10年以上待機しないと腎提供を受ける機会がまわってこないことが多く※、そのため糖尿病などの重い合併症のある方はせっかく移植希望の登録をしても移植できない場合も少なくありません。やはり一人で思い悩まずに移植医・レシピエント移植コーディネーターと相談してください。
※ 2002年1月のレシピエント選択基準改正後の登録日から移植日までの平均待機期間(膵腎同時・肝腎同時移植を除く)は、2021年末時点で5,398.4 日(約14年8カ月)となっています(*6)
現在では、一定の腎機能低下症例であれば先行的腎移植として透析治療開始前から献腎移植の申し込み・登録をすることも可能ですが、やはり待機期間が長いため、移植前に透析開始となります。
☞ 献腎移植の条件
次にどのような人が生体腎移植のドナーになれるのか?を解説します。
日本移植学会のガイドラインでは80歳までが生体腎移植のドナーの適応となっていますが、まず現在の腎機能を詳しく検査する必要があります。片方の腎臓を提供しても、残りひとつの腎臓でその後20年以上大丈夫か?という確認が必要です。最近では正確に腎機能、特に腎臓の予備力がどのくらいあるのかを検査できるようになりました。この検査はイヌリン・クリアランス法という検査法で健康保険の適用にもなっています。生体ドナーは腎臓を提供したことによってどのような不利益も被ってはなりません。
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<出典>
*1 Mange KC, et al. N Engl J Med 2001;344:726-31
*2 Kasiske BL, et al. J Am Soc Nephrol 2002;13:1358-1364
*3 Meier-Kriesche HU, et al. Transplantation 2002;74:1377-1381
*4 日本移植学会・日本臨床腎移植学会. 腎移植臨床登録集計報告(2018)移植 2018;53:89-108
*5 日本移植学会・日本臨床腎移植学会. 腎移植臨床登録集計報告(2022)移植 2022;57:199-219
*6 日本臓器移植ネットワーク. NEWS LETTER 26,2022:7