腎臓の機能を長くもたせるには?

薬物療法、生活習慣改善、食事療法、運動療法などの保存療法を行います。

慢性腎臓病の薬物療法

監修:日本医科大学 腎臓内科学教室 教授 鶴岡 秀一 先生

慢性腎臓病(CKD)の治療の目的

慢性腎臓病(CKD)を治療する第一の目的は、腎機能が悪化して末期腎不全になるのを防ぐことです。もう一つの目的は、CKDに合併しやすい心筋梗塞や脳卒中といった命にかかわる病気を防ぐことです。

CKD患者さんに用いられる薬剤

残された腎機能を守るため、また、腎臓の働きを補い、合併症を防ぐために、さまざまな薬が用いられます。
CKDの進行と治療薬

<血圧を下げる薬(降圧薬)>
腎臓は、血圧調節に重要な役割を担っています。CKDは高血圧の原因となりますが、高血圧もCKDを悪化させるので、血圧のコントロールはきわめて重要です。
降圧薬には、さまざまな種類があります。1つの薬で血圧が十分に下がらない場合は、2つ以上の薬を組み合わせることもあります。
食事をとれなかったり、下痢や嘔吐、発熱などの症状があったりする場合は、腎機能が急激に悪化する危険性があるため、降圧薬を飲まずに受診しましょう(*1)
◆関連記事:コラム「慢性腎臓病の薬物療法:降圧薬

<血糖を下げる薬(糖尿病治療薬)>
経口剤と自己注射 糖尿病性腎症は、透析導入の原因疾患の第1位です(*2)。糖尿病性腎症の進行を抑えるためには、早期段階で血糖をしっかりとコントロールすることが大切です。
糖尿病治療薬には飲み薬と注射薬があります。複数の飲み薬を併用しても効果が不十分な場合は、インスリン製剤の自己注射を行います。

<脂質を下げる薬(脂質降下薬)>
CKD患者さんは、血液中のLDLコレステロールや中性脂肪(トリグリセリド)が過剰になる「脂質異常症」を合併していることが少なくありません。心筋梗塞や脳卒中を防ぐためにも、脂質異常症の治療は重要です。
脂質降下薬には、主にLDLコレステロールを下げる薬と中性脂肪を下げる薬があります。

<尿酸を下げる薬(尿酸降下薬)>
腎機能が低下すると尿酸の排泄が低下して高尿酸血症になることがあります。一方で、高尿酸血症の治療がCKDの進行を抑える可能性があるともいわれています(*3)
尿酸降下薬には、体内での尿酸の産生を抑える薬と、尿酸の排泄を促す薬があります。

<貧血を改善する薬>
注射器 腎臓は、赤血球をつくるホルモンを産生しています。そのため、腎機能が低下すると貧血になります(腎性貧血)。貧血を放置しておくと、全身により多くの血液を送り出そうとして心臓に負荷がかかるため、心不全の原因になることもあります。
治療としては造血ホルモン剤を定期的に注射しますが、必要に応じて鉄剤も服用します。

<骨に関わるミネラルを調整する薬>
腎臓は、リンやカルシウムといった骨に関わるミネラルの調整にも大きな役割を果たしています。CKDが進行すると、血液中のリンやカルシウムのバランスが崩れ、骨の分解を促す副甲状腺ホルモンが分泌されて、骨がもろくなったり、血管が石灰化したりします(このような病態を骨・ミネラル代謝異常といいます)。
これらの合併症の治療や予防のために、腸内でリンを吸着して体外に排泄するリン吸着薬や、副甲状腺ホルモンの分泌を抑える活性型ビタミンD3製剤を服用します。

<血液が酸性に傾くのを抑える薬>
腎機能が低下すると、水素イオンなどの酸が尿中に排泄されにくくなり、血液が酸性に傾きます(代謝性アシドーシス)。症状はほとんどありませんが、CKDが悪化したり、血液中のカリウムが上昇したりします。
代謝性アシドーシスの治療薬としては、主に重曹が用いられます。

<カリウムを下げる薬>
CKDが進行すると、カリウムの排泄低下や、上記の代謝性アシドーシスの影響によって、血液中のカリウムが過剰になります。高カリウム血症になると、心臓の機能に影響が出ることもあります。
治療には、腸内でカリウムを吸着して体外に排泄するカリウム吸着薬を使用します。

<老廃物を排泄する薬>
CKDが進行すると、体内に老廃物(毒素)がたまって、だるさや吐き気などのさまざまな尿毒症の症状が現れます。
治療には、腸内で毒素を吸着して体外に排泄する吸着炭が用いられます。ただし、吸着炭は毒素だけでなく他の薬も吸着してしまうため、時間をずらして服用する必要があります。
吸着炭の作用機序

CKDで注意が必要な薬

多くの薬は腎臓から尿中に排泄されます。そのため、腎機能が低下したCKDでは、薬の排泄が遅れるため、薬が効きすぎたり、副作用を起こしたりするリスクが高まります。さまざまな理由で用いられる薬剤のうち、以下のようなものについては注意が必要です。

注意が必要な薬剤の例
これらの薬剤の投与量や投与間隔を適切に調整することも、CKDにおける薬物療法の重要な柱となります。消炎鎮痛薬の成分のように、市販の痛み止めやかぜ薬などにも含まれているものもあるので、使用する薬剤については、医師、薬剤師に相談して安全に使えるか確認するようにしましょう。

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☞【参考】
ご家庭で作れる美味しい腎臓病食「ごほうび腎臓病食を楽しもう!
末期腎不全の治療法「腎代替療法とは

<出典>
*1 日本腎臓病学会 CKD診療ガイド2012
*2 日本透析医学会 統計調査委員会 図説 わが国の慢性透析療法の現況(2016年12月31日現在)
*3 日本腎臓学会 エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018


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