生体腎移植者 山上隆さん(仮名)
生体腎移植者 山上隆さん(仮名)
2017.08.31 レシピエントインタビュー
腎移植者インタビュー
腎移植を受けられた方にお話をお聞きする、腎援隊「レシピエントインタビュー」第5回目は、2型糖尿病から腎不全になり、生体腎移植を受けられた大脇嶺さんのインタビューです。
大脇さんは36歳の時に2型糖尿病と診断され、64歳の時に腹膜透析導入、68歳の時に奥様がドナーとなって生体腎移植を受けられました。
移植後、仕事や趣味に一生懸命取り組み、充実した日々を送られている大脇さんと、主治医である湘南鎌倉総合病院 日髙寿美先生に、さまざまなお話をお伺いしました。
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取材日:2019/09/19
※このインタビューは、湘南鎌倉総合病院 腎移植内科より候補となる方をご紹介いただき、ご本人様に応諾頂けた方を対象に実施しました。事前にご了承いただけた範囲で関連する情報を開示しております。記事の内容につきましては患者様から伺ったお話をそのまま掲載しておりますが、あくまで個人の経験と主観に基づくご意見・ご感想です。
Chapter 1: 糖尿病性腎症を発症して
----- 糖尿病を発症されたのはいつ頃でしたか。
大脇さん:
36歳の頃でした。健康診断で尿糖が高いことを指摘されて気付きました。私は循環器内科の医師で、当時、激務が続いており、健康的な生活を送れていなかったことが原因だと思います。
----- 糖尿病治療の生活には苦労しましたか。
大脇さん:
特に自覚症状があったわけではないので、仕事は変わらず精力的に行っていました。2002年から高知市立市民病院の院長を務め、高知県立中央病院との統合に携わりました(2005年に高知医療センターとして開院)。もちろん糖尿病治療薬は服用していましたが、多忙な日々の中、食事療法や運動療法は、正直なところなかなか実践できませんでした。お酒も大好きでしたし(笑)。
約10年かかった高知医療センターの立ち上げをやり切った後、少し養生しようと思って、61歳の時に長野県の病院に転職しました。しかし、しばらくするとHbA1c※が9.0%近くまで上がったため、インスリン療法を開始しました。しばしば低血糖を起こしたり、食後高血糖が続いたりして、次第に日常生活に支障が生じるようになりました。
また、その頃、血清クレアチニン値が3.0mg/dLを超えるようになり、糖尿病性腎症の診断を受けました。タンパク質制限などの食事療法が必要になり、薬物療法も開始しました。
※ HbA1c(ヘモグロビン・エー・ワン・シー):糖尿病の診断に用いられる血液検査の項目。6.5%以上は「糖尿病型」と判定される。
高知市立市民病院に勤めていた頃の大脇さん
----- 糖尿病性腎症と診断されてから、体調はいかがでしたか。
大脇さん:
腎不全の症状に大変悩まされました。特に全身倦怠感がひどく、暇があれば休んでいるような状態で、日曜日は家に引きこもっていました。
また、私は仕事が生きがいですので、体調が優れず、仕事が満足にできないことは精神的に大変苦痛でした。主治医からそろそろ透析が必要になると言われ、将来のことなどを考えると、気分がひどく落ち込みました。当時は腎代替療法として血液透析を受けるつもりでしたが、シャントがうまく作れなかったこともショックでした。シャント作製の際、手術中にシャントが詰まってしまい、別の場所に作り直したのですが、それも1週間くらいで詰まってしまいました。そのようなこともあり、うつ状態で食欲が全くなくなって、72~73kgあった体重が一気に65㎏くらいまで落ちてしまいました。
日髙先生:
糖尿病患者さんは血管に障害が起こりやすいので、シャント作製が難しい場合があります。血液透析患者さんの多くは、透析の際、穿刺(透析用の針をシャントに刺すこと)が無事に終わると、ほっとして、その日の透析が8割方終わったように感じるようです。ですから、良いシャントを作れるかどうかは、透析患者さんのQOL(Quality Of Life:生活の質)に大きく影響します。
大脇さん:
当時は心身ともに最悪の状態でしたので、勤めていた病院を退職しなければなりませんでした。
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